北海道の自然と私

知床のガイド　寺山　元さん

テーマ：北海道の自然体験を堪能する

はじめに

これまでのアウトドア関連情報は、「どこで何が、いくらでできるか」といったメニュー形式が主流でした。北海道内のカヌー、サイクリング、登山、釣り、雲海、トレッキング、ダイビング、キャンプなど、体験の内容よりも場所の羅列に終始する傾向がありました。
しかし、自然体験や文化・歴史体験が観光の中心となる今、地域の自然や人の温かさに触れることで生まれる「感動」や「ワクワク感」を伝えるガイドの存在こそが、地域の魅力を深く伝える鍵であると私たちは考えました。
そこで、北海道各地で活動するガイドの皆さんの声をもとに、地域体験の魅力をより具体的かつ包括的に紹介する特集「北海道自然・文化体験」を企画しました。
本特集の進行にあたっては、2024年10月5日に開通した北海道ロングトレイルをきっかけにご縁をいただいた、知床のスルーガイド・寺山元（TERAYAMA GEN）さんにアドバイザーとしてご協力いただいております。
寺山さんのご助言のもと、特集内容の微調整を重ねてまいります。
「人の感動を人に伝える」をモットーに、滞在型・コミュニケーション型の地域観光の魅力を発信していきます。

悠悠北海道代表　高橋　正昇
（TAKAHASHI MASANORI）

寺山元スルーガイドインタビュー

「生きてて良かった！」

TAKA
寺山さんは、2000年にヒマラヤのチョーオユー峰（8,201m、世界第6位）に登頂し、山頂からスキーで滑降されたと伺いました。
日本人初の快挙とのことですが、それは冒険心からの挑戦だったのでしょうか？

GEN
北海道大学の学生時代に山スキーや登山を楽しんでいました。その後、ネパールやブータンなどを扱う旅行会社に転職し、好きなことを仕事にできる幸せを感じていました。偶然ヒマラヤへの遠征隊に参加する機会を得ました。どうせならスキーにもチャレンジしようとスキーを持って行きましたが、日本人初を狙ったわけではなく、いわゆる冒険家ではないです。運良く登頂でき、山頂から滑りましたが、8000mでのスキーは厳しくて、滑るのは全く楽しくなかったですね。なんとか無事下山してみたら、日本人初だった、というだけです。

TAKA
そんな寺山さんが知床でガイドを始めたきっかけは何ですか？

GEN
新潟県出身ですが、子供の頃に父親に「日本で一番自然が豊かな所は？」と聞いたら「知床だ」と教えてもらったのが始まりです。
親戚が斜里町に住んでいたこともあり、小学生の時にウトロを訪れました。その後、大学時代（北海道大学）に仲間と何度も知床を訪れ、旅行代理店勤務を経て、40歳の時に転機が訪れました。
知床が世界自然遺産に認定され、知床財団が設立されたタイミングで求人があり、応募して家族で移住しました。

TAKA
寺山さんにとって、知床とはどんな場所ですか？

GEN
生きていることを思い出させてくれる所です。知床財団では野生動物管理などの仕事で、よく生き物の死に立ち会いました。自然の厳しさと豊かさ、生きていることの奇跡を知りました。理せず向き合えば、一年中楽しめて心地よい場所です。
特に知床岬へのトレッキングが好きですね。動物もたくさんいます。

TAKA
ガイドされているエリアは？

GEN
スルーガイドなので基本的にどこでも行きますが、道東全域と大雪山エリアが中心です。

TAKA
ガイド希望日が重なった場合は？

GEN
お客様の了承があれば、ガイド仲間と調整します。